御願解き(ウガンブトゥチ)

12月2日から24日までに、各家庭で行われる行事である。

火の神に雄花(そのままの米)、雌花(洗米)と酒、線香を供え、白紙で作った七橋紙を1対、竹切れに吊るして、この一年間の無事安泰を感謝し、その後、七橋神を焼き「七橋登り召候」と祈る。 これは、12月25日にかまどに鎮座する火の神が昇天する日とされる。火の神が天に昇って玉皇大帝に家族の一年間の善悪を報告し、翌年正月元旦に降臨するということから、かまどは丁寧に清掃される。地域によっては、御仏供(ウブク)を供えるところもある。 御仏供(ウブク)とは、湯のみ茶碗に飯を円錐形に盛ることで、悪いことを告げ口されないようにということらしい。沖縄では、告げ口するのを荒神(コージン)すんといい、告げ口する人をコージナーと言っている。

火の神は、台所に祀られる三個の石をよりましとする神である。 元来カマドそのものを拝んだのだが、やがてカマドをかたどった三個の石に変わる。燃料や熱源の返還に伴い、台所が著しく変化した結果、香炉や三つの小石で火の神を象徴するようになった。仏壇が登場したのは、後世のことである。それ以前、家庭を守る神が火の神であったので、家庭に吉凶のある時は火の神を拝した。 火の神を祀るのは主婦、妻、母であり、彼女らが亡くなった場合は、取り壊して新しく造りかえる。 火の神の神体となる三つの自然石は、吉日を選び人の踏んでない所から拾う。分家をする際は、親元から火の神の灰を分けて新しい火の神に入れる慣習である。 結婚のとき火の神を拝み、出産のときに赤子を火の神の御前で鍋墨を額につける風習もあったが、カマド石、わくらカマド、石油コンロ、電気炊飯器、ガスコンロ、電子レンジと変わってきた今日、火の神信仰の行く先が案じられる。

(文:下條義明)