浜御願(ハマウガン)

暦の上では、年月日及び方位などをさす言葉に、甲子(かのえね)、乙丑(きのとうし)、丙寅(ひのえとら)などがあり、これを一般に干支(えと)と言う。これは、十干と十二支の組み合わせによってつくられる。 十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸から成り立ち、十二支は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・羊・申・酉・戌・亥である。 それらが内臓している性格により、日取り、方位など、ありとあらゆる判断法が生じ多くの行事に用いられている。

浜御願は、2月と8月に辛(かのと)で最も吉となる日を選んで行われる。 その日をンジガニーと呼ぶ。ンジガニーとは、「出ずる嘉例」のこと。

しかし最近は、辛の日にこだわらず「大安吉日」を選んで行事を進めるようになった。

流行病の神を追い払う行事で、神人と役職員が東西の御嶽に詣で悪疫払いの祈願をする。帰路、部落前の浜で、シヌグジョーと呼ばれる津口、中ぬ津口、ハマグヮーぬ津口で、二本のキチ(棒)に左撚綱(ヒザイヨウナ)を吊るし立て、煮豚の頭、昆布、にぎり飯を供え、御嶽と同様のしめを張って祈願する。

平安座の浜御願は、沖縄各地に残る島クサラシ(悪疫払い行事)に変わる行事だと思われる。 供え物のウサンデーは終了後に神人と共に食をする。

ウサンデーとは、祖霊、守護神への供え物を取り下げて、霊神とともに、あるいは、霊神の帰天後相判にあずかることを言う。年中行事はすべてこれをともなう。

海御願(ウミウガン)について

浜御願同様に2月と8月に海御願がある。浜御願が辛(かのと)の吉日に行われるのに対し、海御願は、同じ月の甲(きのえ)の吉日が選ばれる漁民の祭祀である。 この甲の日の吉日は、イリガニーと呼ばれた。「入り嘉例」の意味である。 魚がたくさん入ってくるよう、豊漁を招き入れる祈願である。 先ず、漁からあがった漁民たちが、平安座の御神に神人の祭祀で火の神、ウカマに魚のご馳走を供える。 その時、神人の海勢頭(ウミフドゥ)男性神役が祭祀を司どったのでは、ないかと思われる。祈願のさいには、参加者に花米が与えられ、またその家族にも白紙に包まれた花米がもたされた。 当日の費用は、漁民一人一人からヌチャーヒー(徴収)であり、一箇所に供え物、酒肴の準備を依頼する。 祈願後は、親族うち揃い、三味線、太鼓、に合わせて余興大会が始まる。 漁民も少なくなり、数年前までは、自治会が有志に呼びかけて実施し、今日では、海御願は年中行事から遠おのきかけていたところ、与那城町漁業協同組合、安次富保組合長の呼びかけで平成18年、海人達の行事として復活した。

(文:下條義明)